コーポレートブランディングとは?目的や進め方をわかりやすく解説
企業の競争力強化や価値向上を実現する手段として、近年注目を集めているのが「コーポレートブランディング」です。コーポレートブランディングを行うと、顧客との信頼関係を構築しやすくなったり他社と差別化できたりと、多くのメリットが得られます。
しかし、「コーポレートブランディングがどのような取り組みなのか」「どのように進めていけばよいのか」がわからず、なかなか挑戦できていない企業は多いものです。コーポレートブランディングは企業の価値を左右する重要な取り組みなので、正しい知識を身につけてから実施することが大切です。
この記事では、コーポレートブランディングの意味や重要性、具体的な進め方について詳しく解説します。
コーポレートブランディングとは?
コーポレートブランディングとは、自社ならではのブランドを確立し、その価値を向上させたり社内外に浸透させたりするための活動です。特定の商品ではなく、企業全体の価値を強化する点が特徴です。
コーポレートブランディングを実施すると、ステークホルダーからの共感・支持を集められて、事業にさまざまなプラスの影響がもたらされます。例えば、一貫したコミュニケーションの提供や社内文化の醸成、顧客体験の向上などが挙げられます。
コーポレートブランディングは、「第五の経営資源」として近年注目を集めている取り組みです。積極的に取り組むことで、企業の持続的な成長や競争力強化につながる重要な施策といえるでしょう。
コーポレートブランディングが重要な理由
企業にとってコーポレートブランディングが重要な理由は、以下の4つです。
ステークホルダーからの信頼を得られる
競争力を強化できる
従業員の意欲を向上させられる
採用活動が有利になる
それぞれどのようなことなのか、詳細をみていきましょう。
ステークホルダーからの信頼を得られる
コーポレートブランディングを通じて、「自社がどのような価値を提供して社会に貢献できるのか」を示せれば、ステークホルダーからの信頼を獲得できます。信頼の獲得は単なる好感度の向上にとどまらず、売上向上や取引先との関係強化、円滑な資金調達など、多くのメリットをもたらしてくれるでしょう。
信頼される企業ブランドを確立できれば、製品やサービスの評価にもよい影響が出て、長期的な企業成長の基盤となります。
競争力を強化できる
企業の持つ力や独自性を広く浸透させられると、他の企業との差別化を図りやすくなります。差別化によって競争力を強化できれば、既存事業を有利に進められるだけでなく、新規事業や新製品を展開する際にも大きな強みになるでしょう。
例えば、高品質なパソコンを製造・販売するメーカーがスマートフォンを展開する場合、今までの信頼性が新規事業にも波及する可能性があります。コーポレートブランディングは、製品価値の向上や市場シェアの拡大などにも効果的なのです。
従業員の意欲を向上させられる
コーポレートブランディングの一環として行われる「インナーブランディング」は、従業員の帰属意識を高めて、意欲向上や人材の定着に効果を発揮します。
企業の理念や価値観を従業員に浸透させることで、従業員一人ひとりが「その会社らしさ」を体現した行動を取りやすくなります。その結果、顧客満足度の向上や業務効率の改善など、企業全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
採用活動が有利になる
近年の求職者は、企業を選ぶ際に評判や将来性を重視する傾向にあります。コーポレートブランディングによって企業の認知度や信頼性が高まれば、入社を希望する求職者が増加するでしょう。
多くの求職者が集まれば、それだけ自社に適した人材を採用できる可能性が高まります。人材獲得競争が熾烈化している昨今、優秀な人材の確保は企業の競争力向上に大きく貢献してくれます。
コーポレートブランディングを進める方法
コーポレートブランディングを進める手順は、以下のとおりです。
実施のタイミングを見極める
プロジェクトチームを編成する
現状を把握する
ブランドアイデンティティを確立する
デザイン・ルールを策定する
ブランディング手法を決める
一貫したコミュニケーション施策を実施する
効果測定と改善を繰り返す
ここでは、各プロセスのポイントを詳しく紹介します。
1. 実施のタイミングを見極める
コーポレートブランディングは、企業ブランドイメージと実体の乖離が大きくなったタイミング、大きな変化が訪れるタイミングで実施することがおすすめです。
コーポレートブランディングに適しているのは、具体的に次のようなタイミングです。
社長交代
周年記念
企業合併
事業再生
採用強化
海外進出
上記の機会を活用すると社内外の注目を集めやすくなるので、効果の最大化を目指しやすくなります。他にも、業界の変化や競合他社の動向、社会のトレンドなども考慮のうえ、自社にとって最適なタイミングを見極めましょう。
2. プロジェクトチームを編成する
次に、プロジェクトを遂行するチームを編成しましょう。コーポレートブランディングは全社的な取り組みであるため、各部門・部署からバランスよくメンバーを集めてチームを編成することが重要です。
メンバー選出の際は、企業理念への理解が深い人、部門を超えたコミュニケーション能力が高い人、創造的な思考ができる人、変革に対して前向きな人を含めるとよいでしょう。責任者は経営陣から選出し、少数精鋭のコアメンバーで素早く施策を実施・浸透させる体制を整えることが大切です。
また、必要に応じて外部の専門家に相談することも検討しましょう。多様な視点を持つメンバーでチームを構成できると、より効果的なブランディング戦略を立案・実行しやすくなります。
3. 現状を把握する
コーポレートブランディングに着手する前に、現状を把握しておきましょう。目指すべき理想の姿と現状とのギャップを明確にすることで、改善すべき点が具体的にみえてきます。
現状把握で調査しておきたい項目としては、次のようなものが挙げられます。
トップの意思
顧客のニーズ
企業の歴史や文化
企業のビジョン
社員の声や認識
外部からの評価
業界での認知度
上記の情報を総合的に分析することで、現在のコーポレートブランドの強みや弱み、改善すべき点が明らかになります。主観的な情報ではなく、客観的なデータにもとづいて分析を行うことを意識しましょう。
また、競合他社との比較分析も重要です。自社の独自性や優位性を明確にできると、差別化戦略の基盤を築きやすくなります。
4. ブランドアイデンティティを確立する
ブランドアイデンティティとは、「企業が目指すべきブランドの理想像」です。トップの意思と顧客ニーズをもとに、ブランドの中核となるブランドアイデンティティを決定していきましょう。
ブランドアイデンティティの確立には、「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」の策定が有効です。MVVとは、企業が目指す方向や実現したいことを言語化したものです。
ミッション:企業の存在意義や果たすべき使命
ビジョン:中長期的に達成したい目標
バリュー:大切にする価値観や行動指針
これらの要素をあらかじめ定義しておくと、一貫性のあるブランドアイデンティティを構築しやすくなります。
また、単にブランドアイデンティティを策定するだけではなく、社員全員が内容を深く理解し、共感できるものにしていく必要があります。社内で議論を重ねて、全員が納得できるブランドアイデンティティを作り上げましょう。
5. デザイン・ルールを策定する
コーポレートブランディングの一貫性を保つために、具体的なデザインやコミュニケーションのルールを策定しましょう。これらのルールは、社内外のあらゆるブランド接点で統一感のあるブランド体験を提供するために不可欠です。
ブランディングのガイドラインには、次のようなことについて規定しましょう。
社名の表記ルール
ロゴの使用規定
コーポレートカラー
フォント
キャッチコピー
写真やイラストのスタイル
行動指針
単にルールを記載するだけでなく具体的な使用例も盛り込んでおくと、全社員が理解しやすいガイドラインになります。
また、デジタルの接点に対応したガイドラインも忘れずに策定しておきましょう。Webサイトやソーシャルメディアのデザインやトーン&マナー、動画コンテンツの制作ルールなども含めておくと、よりブランドイメージを管理しやすくなります。
6. ブランディング手法を決める
コーポレートブランディングを実施する方法として、アウターブランディングとインナーブランディングの2つが挙げられます。
ここでは、それぞれの具体的な手法についてみていきましょう。
アウターブランディング
アウターブランディングは、外部に向けたブランド構築活動です。消費者や自社の顧客だけではなく、取引先や投資家、求職者など社外のすべてのステークホルダーを対象とした取り組みを指します。
アウターブランディングの具体的な手法として、次のような一例が挙げられます。
社名やロゴの変更
商品デザインの変更
ブランドサイトの制作
オウンドメディアのリニューアル
イベントの実施
採用サイトの刷新
ブランディング広告の出稿
アウターブランディングを行うことで自社のメッセージをしっかりと伝えられて、顧客満足度を高められます。また、自社の価値を向上させられれば、新しいビジネスチャンスを獲得できたり資金調達が有利になったりと、多くのメリットが得られます。
関連記事:オウンドメディアのリニューアル手順を解説!成功させるための5つの注意点とは?
インナーブランディング
インナーブランディングは、社内に向けたブランド浸透活動です。社員にブランドの価値やMVVを浸透させて、帰属意識の向上や社内コミュニケーションの活性化を図ります。
インナーブランディングの具体的な手法として、次のような一例が挙げられます。
研修やワークショップの実施
クレドカードの作成・配布
組織体制や福利厚生の刷新
オフィスデザインの変更
社内向けブランドアンバサダーの任命
向かうべき方向性が統一されれば、従業員のモチベーションが大きく高まります。前向きに仕事へ取り組めるようになるので、定着率向上や生産性アップなどの効果が得られるでしょう。
7. 一貫したコミュニケーション施策を実施する
ブランドアイデンティティとデザイン・ルールが確立したら、その内容に沿って一貫性のあるコミュニケーション施策を実施します。
商品開発
自社メディア
広告
広報
社内教育
上記のように、あらゆる場面にコーポレートブランディングを反映しましょう。
特に、SNSやオンラインコミュニティなどを通じた双方向のコミュニケーションを積極的に取り入れることがおすすめです。市場や顧客の声に耳を傾けてブランドに反映することで、より強固な信頼関係を築きやすくなります。
コーポレートブランディングには長期的かつ地道な努力が必要ですが、些細なミスやトラブルで一瞬にして信頼を失うこともあります。従業員一人ひとりが企業の看板を背負っていることを強く意識して、ブランドの価値を守る行動を取ることが大切です。
8. 効果測定と改善を繰り返す
コーポレートブランディングの取り組みが成果につながっているか、定期的に効果測定しましょう。ただし、ブランディングの効果は売上や利益に直結するものだけではないため、短期的な成果を求めすぎないことが重要です。
効果測定の際にみておきたい指標としては、次のようなものが挙げられます。
ブランド認知度
ブランドイメージ
従業員満足度
顧客満足度
メディア露出度
上記の指標を定期的に測定して、結果を分析しながら改善を繰り返していきましょう。また、社員や顧客からのフィードバックを積極的に収集し、改善案に反映していくことも大切です。
PDCAサイクルを回し続けることで、より強力で持続可能なコーポレートブランドを構築しやすくなります。
コーポレートブランディングを成功させるポイント
コーポレートブランディングを成功させるには、以下のポイントを意識する必要があります。
長期的に取り組む
部門を超えて取り組む
入念にリサーチを行う
各ポイントの詳細をみていきましょう。
長期的に取り組む
コーポレートブランディングは、一朝一夕でできるものではありません。
ブランドの確立からガイドラインの策定、施策の実施、効果測定と改善まで、すべてのプロセスに相応の時間がかかります。そのため、入念に計画を立てて、数年単位の長期的な視点で取り組むことが重要です。短期的な成果に一喜一憂せず、粘り強く継続することを心がけましょう。
また、社会情勢や技術の変化に応じて、ブランド戦略を更新していく柔軟性も求められます。長期的な視野を持ちつつ、環境の変化に応じて臨機応変に取り組む姿勢が、持続可能なブランド構築には不可欠です。
部門を超えて取り組む
コーポレートブランディングは「ブランドを接点としたすべてのコミュニケーション」を指すため、社内の全員が足並みをそろえている必要があります。経営陣や特定の部署だけが取り組むのではなく、部門を超えて取り組むことが大切です。
通常の業務では、人事は求職者、マーケティングであれば顧客、IRであれば株主や投資家というように、それぞれの部門が異なるターゲットを見据えている点に注意が必要です。コーポレートブランディングの際は、全員が同じ認識・行動指針のもとブランド価値を体現しなければ、足並みがそろいにくくなるため注意しましょう。
入念にリサーチを行う
コーポレートブランディングの成功には、入念な市場調査と顧客理解が不可欠です。ブランドイメージを抱くのは主に「顧客側」なので、常に顧客目線に立って考えることが重要です。
ペルソナ設計やカスタマージャーニーマップの作成、アンケート調査など複数の方法で、入念にリサーチを行いましょう。顧客視点で自社を見つめ直してみることで、自社ブランドの現状と課題、そして目指すべき方向性が明確になります。
また、競合他社の動向や市場トレンドも把握して、差別化できる内容にすることも大切です。思い込みや直感ではなく、リサーチや客観的な数値データにもとづいて戦略を立てていきましょう。
コーポレートブランディングの成功にはオウンドメディアの活用が重要
コーポレートブランディングは、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な戦略です。この記事で紹介した手順やポイントを参考にして、企業価値の向上やステークホルダーからの信頼獲得を目指してみてくださいね。
コーポレートブランディングの成功には、オウンドメディアの活用が不可欠です。企業の顔となるオウンドメディアは、多くのステークホルダーにとって最初のブランド接点となるためです。しっかりとブランドアイデンティティを反映したメディアを制作できれば、ブランドメッセージや企業の価値を伝えやすくなるでしょう。
コーポレートブランディングの一環としてオウンドメディアの制作をご検討の企業は、ぜひ株式会社GIGのメディア事業部が運営するサービス「コンマルク」までご相談ください。
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