オウンドメディアの戦略設計7ステップ|目的に即したKPIや成功例を解説
オウンドメディアを成功に導くには、戦略の設計が不可欠です。
自社の強みを活かしたコンセプトメイキング、ターゲットに寄り添ったコンテンツ作り、効果検証と改善のサイクル構築など、おさえるべきポイントは多岐にわたります。
本記事ではオウンドメディア戦略の設計を7つのステップに分解し、各フェーズで重要となる考え方を詳しく解説。よくある失敗パターンも紹介するので、自社メディアの価値を最大化するための手法を、この記事でぜひ押さえておきましょう。
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オウンドメディアの戦略設計とは?
オウンドメディアの戦略設計とは、自社が所有・運営するメディアを最大限に活用し、ビジネス目標を達成するための包括的な計画プロセスです。
戦略設計が十分にできていない状態でオウンドメディアを立ち上げると、自社の強みや専門性を活かせなかったり、誰に向けた情報発信なのかが不明瞭になったりします。そのため、以下のような項目を具体的に決めておきましょう。
- なぜオウンドメディアを運用するのか
- いつまでに目標を達成するのか
- 誰に向けて情報発信をするのか
- どのような内容・コンセプトで発信するのか
- どのような経路で流入・成約するのか
オウンドメディア戦略の設計方法7ステップ
オウンドメディア戦略は次の7つのステップで設計しましょう。
- オウンドメディアの目的を設定する
- 目的に即したKPIを設定する
- 競合・ペルソナのリサーチ
- サイトのコンセプトメイキングを行う
- 流入経路を設計する
- 成約までの経路を設計する
- 継続的な改善のための運用体制構築
それぞれについて、以下解説します。
1. オウンドメディアの目標を設定する
オウンドメディア戦略の出発点は、メディアの役割を明確に定義することです。ブランド認知向上、見込み客の獲得、売上の向上など、企業の課題に対してオウンドメディアがどう貢献するのかを具体的に設定しましょう。
またこの段階で自社のもっているリソースについても整理しておきましょう。スキルや人材面、社内資料のリソースについて振り返っておくことで、この後の戦略を立てやすくなります。
2. 目的に即したKPIを設定する
オウンメディアの成果を可視化し、PDCAサイクルを回すためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。目標達成に向けて、PV数、UU数、CVR、CPA(顧客獲得単価)など、複数の定量指標を組み合わせて評価基準を定めましょう。
KPI設計に際しては、メディア序盤と中盤以降のフェーズで重視すべき指標を変えていくことも重要です。初期は認知獲得のためにPV数などを意識し、徐々に獲得した読者を見込み客化するための指標にシフトしていく。目的に応じて指標を使い分け、戦略のブラッシュアップを図ることが成功の秘訣と言えるでしょう。
3. 競合・ペルソナのリサーチ
競合他社の施策の実行状況や、市場にいるターゲットのニーズをリサーチしましょう。すでに市場が確立されている場所を狙う戦略、空白地帯を狙う戦略など、さまざまな戦略が考えられます。
リサーチの方法としては競合サイトの公開記事の獲得しているキーワードや記事内容、集客後の出口などを確認しましょう。
その上で「最終的に訴求するサービスがもつ、自社ならではの強みや独自性をどう活かすか」を考える視点も重要です。市場リサーチの上で他社にはない価値をメディアで提供することで、競争優位性を確立しやすくなります。
次にターゲットについて決定していきましょう。ターゲットの関心事や悩みに寄り添うコンテンツを提供することで、ファンの獲得と維持につなげることができるのです。
ちなみに「どんな層を狙う」といったレイヤをターゲットといい、そのターゲットをさらに具体化して「一人の架空の人物像」まで落とし込んだものペルソナと言います。
ペルソナまで落とし込んでおいた方が、コンテンツを作る際に「誰に向けて作る」を意識しやすく、おすすめです。性別、年齢、職業、趣味、課題など、できる限り具体的に決めていきましょう。
ペルソナ設計に際しては、社内の知見に加え、データに基づく裏付けを取ることが重要なポイントです。顧客アンケートやインタビュー、Webアクセス解析など、定量・定性の両面から検討しましょう。
4. サイトのコンセプトメイキングを行う
他メディアに埋もれない独自性を打ち出すためにも、サイトのコンセプトを固めることが不可欠です。自社の強み・特色を活かしつつ、ターゲットの課題解決に資する切り口を探しましょう。
コンセプトメイクに際しては、ターゲットを引き付けるキャッチーなフレーズを設定することも重要です。ブランドの世界観を端的に表現し、一目で何のメディアかが分かるコピーライティングを心がけましょう。
5. 流入経路を設計する
流入はSEOだけでなく、他のプラットフォームからも行うようにしましょう。特に序盤では検索流入が期待できないので、SNSや既存リストへのメルマガなど、他のプラットフォームからの流入が肝となります。
ターゲットが日常的に利用しているメディアをリサーチし、ターゲットの目にコンテンツがが留まるよう配信しましょう。自社オウンドメディア、ソーシャルメディア、メルマガなどを使い分け、ターゲットとの長期的な関係性を築く多角的なチャネル戦略が有効です。
BtoBの場合はプレスリリースの活用も視野に入れましょう。
6. 成約までの経路を設計する
見込み客の獲得から売上まで繋げていくためには、オウンメディアを起点としたカスタマージャーニーの設計が欠かせません。記事を読んだ読者を商品ページやお問い合わせフォームに誘導する、獲得した見込み客に対するメールなどによるアプローチなど、成約に向けた導線を描くことが重要となります。
記事コンテンツの設計に際しては、リード獲得(見込み客創出)がゴールである認識をもつことが重要です。記事ごとに検索から訪れた読者の課題に寄り添いつつ、自然な流れで商材の魅力を訴求するような自然な文脈を意識し、納得感のある記事構成を目指しましょう。
7. 継続的な改善のための運用体制構築
予算が確保できたら、継続的なオウンドメディアの運用・改善を支える運用体制の構築を行いましょう
オウンドメディアに必要な人材について、以下のように挙げることができます。
- 責任者、編集者:オウンドメディアのコンテンツ戦略や編集方針を策定し、ライターやデザイナーの管理や指導を行います。また、読者の分析やKPIの設定や達成度のモニタリングなども担います。
- ライター:オウンドメディアのコンテンツ制作を担当します。ターゲットにとって有益で魅力的な記事を書く能力や、SEOやキーワードの知識などが求められます。
- デザイナー:サイトや記事のビジュアルデザインやグラフィック制作を担当します。情報の見せ方や配色、画像や動画などの素材選定や加工などが求められます。
- エンジニア:オウンドメディアの技術面や開発面を担当します。サイトの構築や保守、改善やトラブルシューティングなどが求められます。
- マーケター:オウンドメディアの集客やプロモーションを担当します。SNSやメールマガジンなどのチャネルを活用して、オウンドメディアの認知度やアクセス数を増やす方法や、コンバージョンを最適化する方法などが求められます。
必要な人員をアサインし、各工程でのタスクを明文化します。定例会議の頻度や議題、KPIの振り返り方法などもこの段階で定めておきましょう。
スキル面、人材面など社内リソースだけでは回しきれない場合は、外部パートナー企業の活用もおすすめです。
成功したオウンドメディアの戦略設計
オウンドメディアの戦略設計が成功した事例を2つ紹介します。
- Bright|日機装株式会社
- みんなのBCP|トヨクモ株式会社
Bright|日機装株式会社
『Bright』は、産業用ポンプや血液透析装置、航空機部品を製造する日機装株式会社様の運営するオウンドメディアです。
日機装株式会社は事業領域が専門的であり、一般の方への馴染みが薄いことが課題となっていました。そこで事業理解促進やファンづくり、認知拡大、採用強化を目的にオウンドメディアの立ち上げを決定。その際、「読者に親近感を持ってもらえるようなメディア」をコンセプトとし、専門的なテーマであっても読者に理解してもらえるような記事作成を心がけています。
その結果、今までリーチできなかった層に情報を届けることに成功しています。
また、「これまでは応募が少なかった属性の方からの問い合わせが増えた」とのお声をいただいており、認知拡大、採用強化などの効果が表れています。
日機装株式会社様のコンテンツマーケティングの事例は以下の記事で紹介しております。
みんなのBCP|トヨクモ株式会社
サイボウズ社提供の『kintone(キントーン)』に付随する連携サービスや、災害時の安否確認サービス『安否確認サービス2』などを提供しているトヨクモ株式会社。
従来のインサイドセールス中心の戦略から、顧客との接点をより重視した「リード獲得しない戦略」への転換を実現する目的で、オウンドメディアに取り組みました。
検索上位表示だけを狙うのではなく、「トヨクモだからこそ発信できる情報」を掲載することで自社の強みをユーザーに訴求でき、検索結果からの流入数増加と無料トライアルへの転換率も150%UPの改善が見られました。
トヨクモ株式会社のコンテンツマーケティングの事例は以下の記事で紹介しております。
オウンドメディアの戦略を考える上で重要なポイント
オウンドメディアの戦略を考える上で重要なポイントは、次の5つが挙げられます。
- 自社の強みを活かしたコンセプト設計を行う
- ターゲットに寄り添った記事作成を行う
- コンテンツのクオリティにこだわる
- 効果検証と改善のサイクルも含めて考えておく
- 自社のリソースだけで進めることにこだわらない
1. 自社の強みを活かしたコンセプト設計を行う
オウンドメディアで他社に差をつけるには、自社ならではの専門性や知見を武器にすることが重要なポイントとなります。事業に由来する商品・サービスの導入事例や社内に蓄積された独自のナレッジなどを活かし、希少性の高い価値ある情報を提供することを目指しましょう。
例えば、健康食品メーカーが運営するメディアであれば、商品開発の裏側、原料へのこだわり、品質管理の徹底ぶりなど、自社が今までこだってきた内容があるはずです。そのナレッジをもって健康食品や栄養に関するコンテンツを出すことで、読者から見て「このブランドだからこそ提供できる情報」と思わせるような存在感を放つ情報の提供も可能なります。
2. ターゲットに寄り添った記事作成を行う
いくら質の高いコンテンツを生み出しても、情報提供の入り口としてターゲットの関心事から外れていてはそもそも興味をもってもらえません。想定する読者像に感情移入し、リアルな悩みや課題に寄り添う姿勢を持つことが重要なポイントです。ペルソナのペインに正対した問題提起を行い、具体的な解決策を示すことを心がけましょう。
例えば、キャリアに悩む20代女性をターゲットにしたメディアなら、「仕事の楽しさを見出せない」「スキルアップの方法が分からない」「人間関係に悩む」といったリアルな声を拾い、共感を呼ぶ記事を展開することが有効でしょう。ユーザーインタビューやソーシャルリスニングなどもおすすめです。
3. コンテンツのクオリティにこだわる
オウンドメディアの成功は、コンテンツのクオリティによって決まると言っても過言ではありません。SEOの側面では信頼性、網羅性、専門性など、情報の質を磨く必要がある要素がたくさんあります。
またある程度SEOの文脈に則った上で、メディアの特色を踏まえたコンテンツのあり方を突き詰める必要があります。読者を引き付ける不安への煽りを含めたタイトルにターゲットが反応しやすい二項対立を煽るような内容とするのか、ターゲットに深い気づきを与える抽象的な内容とするのかによって訪れる層が変わります。
もちろんサービスの利用・購入につながるコンテンツもわかりやすさ、意思決定のしやすさも重要です。サービスの利用シーンを深掘りしたユースケース、顧客の成功事例を余すことなく伝えるなど、強みとなる情報を徹底的に掘り下げましょう。
わかりやすい記事にするためには、表記・トンマナを揃えることも大切です。以下の資料ではオウンドメディアにおける表記ガイドライン制作の事例をまとめました。ガイドラインの制作を考えている方は、参考にしてください。
4. 効果検証と改善のサイクルも含めて考えておく
優れた戦略を立てるだけでなく、PDCAを回し続けることがオウンドメディアの成長には不可欠です。KPIを設定し、継続的にモニタリングする仕組みを構築しましょう。記事ごとのPV数や滞在時間、コンバージョン数など、数値に基づく冷静な分析が打ち手を生み出すのです。
定量的な側面に加えて、定性的な評価軸も重要です。コメント欄やソーシャルメディア上の生の声に耳を傾け、読者のニーズや不満点を探りましょう。仮説と検証を繰り返しながら、ターゲットに寄り添うメディア作りを追求することが重要です
5. 自社のリソースだけで進めることにこだわらない
限られた社内リソースの中で、高いクオリティを保ち続けることは容易ではありません。自社の強みを生かせる部分に注力しつつ、足りない部分は外部パートナーの力を借りる柔軟さも重要なポイントです。
外部に委託する際、自社の強みとブランド価値を正しく理解してもらい、必要な情報を都度共有しながらWin-Winの関係を築くことが肝心です。
関連記事:オウンドメディアの運用代行が得意な会社9選|失敗しない依頼先の選び方も解説
よくあるオウンドメディアで失敗するパターン
オウンドメディアの運営で陥りがちな失敗パターンとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ターゲット像が曖昧で、誰に向けた情報発信なのかが不明瞭
- 競合との差別化ができておらず、ありきたりなコンテンツに終始してしまう
- 自社の強みや専門性を活かし切れていない
- 記事の更新頻度が低く、鮮度や網羅性に欠ける
- 読者目線が不足しており、自社の出したい情報だけを出す自社都合の押し付けになってしまう
- KPIが設定されておらず、効果検証のサイクルが回っていない
- 社内リソースだけで進めようとし、クオリティの担保が難しい
これらの失敗はメディア運営の難しさをあまり深く考えず、見切り発車で安易に始めてしまうことが本質的な原因となっています。戦略の精度を高め読者ファーストの徹底、PDCAの高速化、外部リソース活用など、この記事で述べた重要ポイントを抑えることが、失敗を回避するために重要となります。
オウンドメディアの立ち上げはコンマルクにご相談ください!
この記事ではオウンドメディア立ち上げに当たる、戦略設計の部分について解説しました。しかしはじめて行う際はどうやって考えれば良いのか、何を基準にすればいいのかがまだ実感としてわかないのが正直な部分だと思います。
そこで初めてオウンドメディアを立ち上げる際には、専門的な知識を持ったプロに相談しながらの運営がおすすめです。
オウンドメディアの制作・運営にお悩みの方は、ぜひ株式会社GIGのメディア事業部が運営するサービス「コンマルク」までご相談ください。
コンマルクは、数百万PV〜数億PVのメディア構築実績を持つ専門家集団であるGIGのメディア編集部が、御社の事業成長に必要不可欠なメディア運営を強力にバックアップするサービスです。初期の戦略策定から記事制作・内製化支援までワンストップでご提供します。
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