コンセプトの考え方を解説!意味や重要性、設計の流れも紹介
「会社のビジョンや目指す方向性を、もっと明確にしたい」「顧客に選ばれる、唯一無二の存在になりたい」そう思ったことはありませんか?そんな悩みを持つ方におすすめなのが「コンセプト設計」です。
コンセプトを設計することで、社内外へのコミュニケーションを円滑化し、企業の成長を後押しできます。本記事では、基礎的なコンセプトの考え方から、具体的な設計手順まで、わかりやすく解説します。
コンセプトの意味とは?
「コンセプト」という言葉は、様々な場面で使われますが、ビジネスの文脈では「事業や商品・サービスが目指す方向性を示す、全体を貫く視点や考え方」を指します。
コンセプトを考える上で重要なのは、あくまでも顧客目線で考えることです。 顧客にとってどのような意味や価値があるか、ということを軸に考える必要があります。
コンセプトとは全体を貫く視点や考え方
コンセプトは、事業全体を貫く軸となる重要な要素です。例えば、新規事業を立ち上げる際には、「なぜその事業を行うのか」「誰に何を提供するのか」「どのように社会に貢献するのか」といった問いに対する答えを明確にする必要があります。これらの問いに対する答えに共通する根底の考え方こそが、事業のコンセプトとなるのです。
コンセプトを明確にすることで、さまざまな企業活動において、統一感を持たせることができます。これは、顧客に対して一貫したメッセージを伝える上で非常に重要です。ブレのないメッセージを発信し続けることで、顧客との信頼関係を築き、長期的な関係を構築することが可能となります。
コンセプトはビジネスアイデアの起点になる
コンセプトは、単なるアイデアとは異なり、具体的な行動やアウトプットに落とし込むための基盤となるものです。言い換えれば、コンセプトは新たなビジネスアイデアを生み出すための「種」のような存在とも言えます。
例えば、「健康をテーマにした飲食店」というアイデアだけでは、具体的なメニューやサービス、店舗のデザインなどは定まりません。しかし、「忙しい現代人が手軽に栄養を摂れるファストフード店」というコンセプトがあれば、野菜中心のメニューやスピーディーな提供方法、テイクアウト専用のコンパクトな店舗設計といった具体的なアイデアに落とし込むことができます。
さらに、このコンセプトを基盤にすることで、「健康食品の宅配サービス」「オンラインでの栄養相談サービス」といった、飲食店という枠組みを超えた新たなビジネス展開も見えてくるでしょう。
変化の激しい時代だからこそ、コンセプトが重要
現代社会は、技術革新やグローバル化が進み、変化のサイクルが非常に速くなっています。このような時代において、企業が勝ち残っていくためには、時代の変化を捉えながら、柔軟に事業を展開していくことが求められます。
しかし、変化に翻弄され、場当たり的に目新しい事業を次々と展開するだけでは、顧客に「らしさ」が伝わりにくく、ブランドイメージの確立は困難です。結果として、顧客からの共感や信頼を獲得することが難しくなり、企業としての持続的な成長は見込めません。
明確なコンセプトを持つことで、変化の波に飲まれることなく、進むべき方向を見失わずに、一貫性のある事業を展開していくことができるのです。 コンセプトは、自社独自の価値を明確化し、全ての事業活動において一貫性を保つことで、顧客との強固な信頼関係を築くための基盤となるでしょう。
コンセプトの具体事例
企業が独自のコンセプトを打ち出すことで、市場でどのような成功を収めているのか、具体的な事例を交えて見ていきましょう。
スターバックス:サードプレイス(Third Place)
スターバックスは、自宅(ファーストプレイス)と職場(セカンドプレイス)に次ぐ「第三の場所(サードプレイス)」という明確なコンセプトを打ち出し、人々がくつろぎ、交流できるカフェを目指しました。そして、このコンセプトは、商品開発、店舗設計、接客、マーケティングなど、あらゆる企業活動の軸となっています。
例えば、幅広いメニューはもちろんのこと、インテリアやBGMの選曲に至るまで、「サードプレイス」としての居心地の良さを追求しています。さらに、地域コミュニティとの連携を重視したイベントを開催するなど、顧客との繋がりを深めるための取り組みも積極的に行っています。このように、スターバックスは、「サードプレイス」というコンセプトを社内外に徹底することで、ブランドイメージを確立し、顧客ロイヤルティの向上に大きく貢献しました。
ユニクロ:「ライフウェア」
ユニクロの「ライフウェア(LifeWear)」は、「誰もが快適に着られる服」というコンセプトのもと、日常生活に溶け込むシンプルで機能的な衣服を提供しています。機能性とデザインを両立したプロダクトは、幅広い年齢層やライフスタイルの人々に受け入れられています。
このコンセプトを軸にして、世界中の誰もの普段着として身につけられるベーシックなデザイン、手頃な価格、顧客の声をもとに機能性やデザインを毎シーズンアップデートすることなど、一貫した企業活動を行っています。これは、ユニクロが世界的なブランドとして認知されるための大きな原動力となっています。
Apple iPod:「1,000曲をポケットに」
Appleは、「1,000曲をポケットに」というコンセプトのもと、膨大な数の曲を手軽に持ち運び、いつでもどこでも音楽を楽しめるiPodを発売しました。
このコンセプトを用いることで、「大容量」「持ち運びができる手軽さ」がポイントでありながら、ストレートに機能や数値などを用いて示すよりも、音楽をより自由に楽しめる未来を消費者に想像させました。
また、このコンセプトは、Apple社内においても指針となりました。エンジニアたちは、コンパクトなボディに大量の楽曲データを格納できる技術開発に挑み、デザイナーたちは、直感的で使いやすいインターフェースを実現しました。その結果、iPodは、従来のポータブル音楽プレーヤーの常識を覆す革新的な製品として、世界中で爆発的なヒット商品となったのです。iPodの成功は、Appleのその後の製品開発にも大きな影響を与え、iPhoneなどのヒット商品を生み出す原動力となりました。
効果的なコンセプト設計の3つのポイント
コンセプト設計は顧客目線で考えることが重要です。実際にコンセプトを考える際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
ペルソナと提供価値を明確にする
誰に、どのような価値を提供したいのかを明確にすることは、コンセプト設計の基礎です。顧客のニーズを深く理解し、顧客が本当に求めている価値は何か、そこに自社の商品やサービスがどのように貢献できるのかを考えることで、共感を得られるコンセプトを創り出すことができます。
そのため「誰に」の部分であるペルソナ(顧客像)の設定が不可欠です。顧客の年齢層、性別、職業、ライフスタイル、価値観などを分析し、具体的なペルソナ(顧客像)を設定することで、顧客の抱える課題やニーズをより具体的に捉えることができます。
ここで導き出されたペルソナの課題やニーズに寄り添うことができる自社商品・サービスの特徴を整理し、提供価値を明確にしていきます。
競合との違いを明確にする
競合他社との違いを明確にすることで、顧客に「なぜ自社の商品・サービスを選ぶべきなのか」という理由を伝えることができます。
差別化のポイントは、価格、品質、機能、デザイン、ブランドイメージなど、様々な要素が挙げられます。重要なのは、現状分析・ペルソナ設定で顧客にとって意味のある差別化要素を見出し、競合との違いを明確に打ち出すことです。
シンプルでわかりやすくまとめる
コンセプトは、社内外に広く共有されるべきものです。そのため、誰にでも理解しやすい言葉で、簡潔に表現することが重要です。そのため複雑な言葉や専門用語を避けて、誤解なくわかりやすくまとめることを意識しましょう。
誰にとっても分かりやすい言葉で表現することで、正しく理解され、共感を生み購買につながったり、社内に浸透し統一感のある事業展開や愛着を生む効果が期待できます。
コンセプト設計の4つのステップ
ステップ1:現状分析(市場調査、競合分析、自社分析)
まずは、市場環境や競合、自社の現状を分析します。市場調査では、顧客ニーズや市場トレンドを把握することが目的です。顧客アンケートやグループインタビューなどを実施することで、顧客のニーズをより深掘りすることができます。また、市場規模や成長率、競争状況などを分析することで、市場におけるビジネスチャンスを特定します。
競合分析では、競合他社の強みや弱み、差別化要素を分析します。競合の製品・サービス、価格戦略、マーケティング戦略などを分析することで、自社の強み・弱みを明確化し、差別化戦略を検討することが目的です。自社分析では、自社の強みや弱み、資源や能力を客観的に評価します。財務状況、技術力、人材、ブランド力などを分析することで、自社の強みを活かせる事業領域や、克服すべき課題を明確にします。
市場・競合・自社の分析を経て、自社を取り巻く現状を分析し提供価値を整理します。
ステップ2:ターゲット設定 (ペルソナ設定)
誰に価値を提供したいのか、具体的な顧客像(ペルソナ)を設定します。年齢、性別、職業、興味関心、ライフスタイル、価値観など、詳細なプロフィールを作成することで、顧客理解を深めます。
ペルソナのニーズや行動パターンを細かく分析することで、顧客にとって本当に価値のある製品・サービスを開発することができます。
ステップ3:コンセプト策定 (ユーザーニーズ×訴求価値の整理と言語化)
現状分析で整理した価値と、設定したペルソナに基づき、コンセプトを策定します。顧客のニーズと自社の強みが合致するポイントを見つけ出し、顧客に提供できる独自の価値を発見します。そして、その価値を、簡潔で分かりやすく、魅力的な言葉で表現します。
コンセプトは、顧客に響くメッセージであると同時に、社内の行動指針にもなりうるものです。そのため、顧客目線とビジネス目線の両方を意識し、バランスの取れたコンセプトを策定することが重要です。
ステップ4:コンセプトの浸透と活用 (社内展開、対外発信)
策定したコンセプトは、社内外のあらゆる場面で活用されるように、浸透させていく必要があります。社内では、社員一人ひとりがコンセプトを理解し、共有することで、日々の業務に反映させていきます。社員研修や社内報などを活用し、コンセプトの重要性や具体的な行動指針を共有します。ワークショップを実施することも効果的かもしれません。また、評価制度や人事評価にコンセプトを反映させることで、社員の行動変革を促進します。
対外的には、Webサイトやパンフレット、広告など、様々なコミュニケーションツールを通じて、顧客に発信していきます。デザインやキャッチコピーなどさまざまなクリエイティブに対しても、一つのコンセプトを軸に展開することで統一感を出すことが可能です。継続的に統一されたブランドイメージを打ち出し、顧客とのエンゲージメントを高めます。
コンセプト設計はコンマルクにご相談を
コンセプト設計は、企業の成長を大きく左右する重要なプロセスですが、自社だけで取り組むには困難が伴う場合も多いでしょう。コンマルクは、豊富な経験と実績に基づき、企業のビジョンや想いを具現化するコンセプト設計をサポートいたします。
コンセプト設計に必要なリサーチからペルソナ/カスタマージャーニーマップの設計、さらにはコンテンツ制作などの活用まで、一貫したご支援を可能です。コンセプト設計にお悩みの方は、ぜひお気軽にコンマルクにご相談ください。
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新卒で銀行に就職し、中小企業営業に従事。その後学校法人にて広報、ブランディングエージェンシーで事業企画・ワークショップ設計/運営を経験し、2024年4月より株式会社GIGにジョイン。様々な業界に関する知見と課題発見の経験を活かし、現在はメディア事業部にてコンセプト設計を中心に行っている。