ブランドコンセプトとは?誰でもできる作り方と成功のポイントを事例で紹介
近年、商品やサービスの差別化が難しくなってきた影響で、企業のブランド価値を向上させる取り組みの重要性が高まりつつあります。
ブランド価値を高めるには、企業の理念や強みを明確に定義した「ブランドコンセプト」の作成が不可欠です。しかし、「ブランドコンセプトが何かわからない」「どのように作ればよいかわからない」とお悩みの企業は少なくありません。
この記事では、ブランドコンセプトの意味や重要性、作り方について解説します。具体例とともに紹介するので、自社らしいコンセプト作成に活かしてみてください。
ブランドコンセプトとは?
ブランドコンセプトとは、企業やブランドが提供できる価値や存在意義をわかりやすく表現したものです。ブランドコンセプトを作成することで、ブランドが果たすべき使命やらしさ、独自性を整理できて、「このブランドならではの価値」を明確に伝えることができます。
例えば、有名企業では次のようなブランドコンセプトを掲げています。
UNIQLO:LifeWear – 人々の生活をより豊かに、より快適にする究極の普段着
Starbucks Coffee:サードプレイス(自宅と職場に次ぐ第3の場所)
東京ディズニーリゾート:夢がかなう場所
ブランドコンセプトで重要なのは、商品やサービスの特徴を説明するのではなく、「ブランドが実現したい世界観」や「顧客に提供できる価値」を表現することです。これにより、多くの人の心に響く、独自のブランドイメージを確立しやすくなります。
ブランドコンセプトが重要な理由
企業にとってブランドコンセプトが重要な理由として、以下の3つが挙げられます。
ブランドの価値を明確に伝えられる
ビジネスに一貫性が生まれる
LTVの向上につながる
どのようなことなのか、詳細をみていきましょう。
ブランドの価値を明確に伝えられる
ブランドコンセプトを明確にすることで、企業が提供する価値を顧客にわかりやすく伝えることができます。商品やサービスの機能や特徴だけでなく、「なぜ提供するのか」「どのような課題を解決できるのか」という本質的な価値を示すことで、より深い理解と共感を得られやすくなるでしょう。
例えば、Starbucks Coffeeの「サードプレイス」というブランドコンセプトは、商品の特徴を示すものではありません。「居心地のよい空間」という付加価値の高さを訴求することで、多くのファンの心をつかみ、ブランドへの強い愛着形成に成功しています。
ビジネスに一貫性が生まれる
ブランドコンセプトは、企業活動における重要な指針となります。商品開発やマーケティング、顧客対応など、あらゆる場面でブランドコンセプトを基準にした判断ができれば、一貫性のあるブランド体験を提供しやすくなるでしょう。
また、従業員にとっての行動指針にもなります。ブランドコンセプトが共有されていれば、「ブランドの一員として何を大切にすべきか」「どのように行動すべきか」を理解しやすくなり、組織全体でブランドの価値を体現できるようになります。
LTVの向上につながる
明確なブランドコンセプトは、顧客との長期的な関係構築に貢献してくれます。自社の価値や想いに共感してくれる顧客は、単なる商品やサービスの利用者ではなく、ブランドのファンになってくれる可能性が高まるためです。
多くのファンを獲得できれば、継続的な利用や追加購入、口コミや情報拡散など、顧客生涯価値(LTV)の向上を実現できます。
近年は、商品やサービスの機能面・価格面での差別化が難しくなりつつあります。そのため、信頼や愛着といった精神的なつながりを構築できるかどうかが、ビジネスの成否を左右する重要な要素として注目されているのです。
ブランドコンセプトの作り方
ブランドコンセプトは、以下の6つのステップで作成します。
市場・自社の分析
ターゲットの設定
自社が提供できる価値の明確化
ブランドストーリーの考案
ブランドコンセプトの案をいくつか作成
ブランドコンセプトのブラッシュアップ
ここでは、「パソコンブランド」を例に挙げながら、ブランドコンセプトの作成手順を紹介します。各ステップで意識したいポイントを、詳しくみていきましょう。
1. 市場・自社の分析
まずは、市場や競合、自社の情報を整理して、自社ブランドの立ち位置を明確にしましょう。
具体的に分析しておきたい項目として、次のようなものが挙げられます。
ターゲットは誰か?
どのような商品やサービスを提供しているか?
どのような独自性・強みがあるか?
何のために提供しているのか?
顧客に提供できる価値・解決策は何か?
この分析を行うことで、「なぜ自社が存在する必要があるのか」「他社と何が違うのか」というブランドの核となる部分がみえてくるでしょう。
【例】
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2. ターゲットの設定
次に、自社の商品やサービスを届けたい相手、価値を感じてもらいたいターゲット像を具体的に設定します。年齢や性別、職業といった属性情報はもちろんのこと、興味・関心のある分野や行動、嗜好、抱えている課題、不満などの内面的な部分まで深掘りしていきましょう。
できるだけ具体的なペルソナ像を設定することで、ターゲットの価値観や行動原理まで理解でき、より深いニーズを捉えられるようになります。共感を得られやすいブランドコンセプト作成に欠かせないプロセスなので、必ず行っておきましょう。
【例】
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3. 自社が提供できる価値の明確化
市場分析とターゲット設定の結果をもとに、自社ならではの提供価値をみつけ出していきましょう。このときに重要なのは、「自社の独自性」と「ターゲットのニーズ」が重なる部分を発見することです。
自社がターゲットのどのような課題を解決できるのか
なぜその課題を解決できるのか
競合と比べてどのような独自性があるのか
上記のポイントについて、細かく整理していきましょう。
単なる商品やサービスの紹介ではなく、その先にある「理想の未来」や「実現したい世界観」まで考えられると、より強いメッセージ性を持ったブランドコンセプトを作成できます。
【例】 自社の独自性
ターゲットのニーズ
重なり合う提供価値
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4. ブランドストーリーの考案
ブランドストーリーがあると、より説得力のあるブランドコンセプトを作成できます。商品やサービスが生まれた背景、開発のプロセス、そこに込めた想いなどを整理して、過去から現在、そして未来へとつながるブランドストーリーを紡いでいきましょう。
特に、商品開発時に苦労した経験や今までに乗り越えてきた課題は、ブランドの独自性や想いを表現する重要な要素となります。「どのような想いが込められているのか」「どのような未来を目指しているのか」を伝えて、納得感が高く共感できるブランドコンセプトに仕上げましょう。
【例】 エンジニアだった創業者が、パソコンに詳しくない家族におすすめできるパソコンがないことに歯がゆさを感じ、ブランドの立ち上げを決意。性能だけではなく、使う人の目線で考えることの大切さに気づき、「誰もが自信を持って選んで使えるパソコン」を開発した。 |
5. ブランドコンセプトの案をいくつか作成
これまでの要素を組み合わせて、思いつく表現を自由に書き出していきます。完成度は気にせず、キーワードを組み合わせることを意識しましょう。
この段階では表現が粗削りでも構いません。大切なのは、ブランドを象徴する要素をできるだけ多く言語化することです。
【例】
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6. ブランドコンセプトのブラッシュアップ
最後に、作成した案をブラッシュアップして、独自性が伝わる印象に残りやすいブランドコンセプトに仕上げていきましょう。
この際、担当者だけではなく、社内外からの意見も積極的に取り入れることを意識してみてください。さまざまな視点からフィードバックをもらうことで、より多くの人に伝わりやすく魅力的な表現をみつけるヒントになります。
ブラッシュアップするときは、言葉の選び方や文章の長さ、リズム感なども意識しましょう。
ただし、あまりにも洗練された表現だと、意味が伝わりにくくなってしまう可能性があります。あくまでも「自社が提供する価値」が明確に伝わることを優先して、改善を重ねていくことが大切です。
【例】 自信をつくる、たしかな技術。 |
ブランドコンセプトで重要な3つの基本要素
ブランドコンセプトを作るときは、以下の3つの基本要素が重要になります。
ニーズへの対応
自社らしさ
わかりやすさ
それぞれがどのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
ニーズへの対応
そもそも、ブランドや商材が「ターゲット・社会が抱える悩みや不満の解消」につながっていなければ魅力を感じてもらうことはできません。ブランドコンセプトを作るときは、潜在的なニーズも含め、ターゲットや社会の要望を満たす価値になっているかを確認しましょう。
消費者のニーズは、年々変化していきます。一時のトレンドを反映したコンセプトはすぐに古くなってしまう可能性があるので、普遍的なニーズへの対応が重要になります。
自社らしさ
差別化が難しい現代において、ブランドコンセプトを通じて「自社ならではの特徴」を強くアピールすることは非常に重要です。自社らしさには、商品の機能や品質だけでなく、企業理念や価値観、ものづくりへの姿勢なども含まれます。
競合との違いを明確に伝えるには、商品や価格以外の付加価値を伝えることが大切です。「なぜその商品やサービスを提供するのか」「どのような想いで取り組んでいるのか」など、ビジネスの本質的な部分まで掘り下げてみましょう。
わかりやすさ
ブランドコンセプトはキャッチコピーではないため、おしゃれなものにする必要はありません。伝わらなければ意味がないので、奇抜さよりもわかりやすさを優先しましょう。
ブランドコンセプトを作成したあとは、以下の条件を満たしているか確認してみることがおすすめです。
誰でも理解できるシンプルな表現か
業界用語や難しい言葉を使っていないか
人によって解釈が分かれないか
具体的なイメージを持てるか
覚えやすく印象に残る表現か
特に気をつけたいのが、人によって解釈が異なる抽象的な言葉や難しい専門用語、造語の使用です。わかりにくい表現は使わず、一般の方が同じ意味で理解できる単純明快なコンセプトを作りましょう。
ブランドコンセプトの作成を成功させるポイント
よりターゲットの心に響くコンセプトを作成するには、以下の3つのポイントを意識する必要があります。
共感しやすいものにする
新しいマーケットの創出を目指す
多角的な視点で考える
ここでは、各ポイントについて深掘りしていきましょう。
共感しやすいものにする
自社ブランドに興味を持ってもらったり好きになったりしてもらうには、ブランドコンセプトに共感してもらうことが大切です。感情を動かせるとより強く印象に残り、ブランドのファンになってもらえる可能性が高まります。
次の観点を念頭に置いておくと、共感できるブランドコンセプトを作成しやすくなります。
なぜこのブランドが必要なのかが明確になっている
自社が応えられるターゲットニーズが明確になっている
説得力を高める背景や根拠、ストーリーがある
「この理由があるからここの商品を使う」という動機付けができれば、長期的に愛してもらえるブランドになるでしょう。
新しいマーケットの創出を目指す
ブランドコンセプトの作成を成功させるために不可欠なのが、「新しいマーケットを創出できるか」という視点です。既存市場で差別化を図るだけではなく、今までにない価値を提案することも意識してみてください。
たとえ革新的な技術がなかったとしても、既存の技術を組み合わせることで新しいマーケットを創出できる可能性はあります。「誰もが抱えているけれど、まだ気づいていない・言語化できていないニーズ」がないか、よく考えてみましょう。
多角的な視点で考える
ブランドコンセプトを作成するときは、1つの視点に固執しすぎないように気をつけましょう。こだわりを持つことは悪いことではありませんが、視野が狭くなるとアイデアの幅が制限されてしまいます。
「顧客がどのように受け止めるのか」「社会にどのような価値を提供できるのか」「従業員がどのように実現するのか」など、さまざまな視点から検討を重ねましょう。また、切り口を変えたりアイデアを共有したりすることで、新しいインスピレーションが生まれることもあります。
多角的な視点を取り入れると、より深みのあるブランドコンセプトを作成しやすくなるでしょう。
ブランドコンセプトの作成はプロに相談することがおすすめ
ブランドコンセプトは、顧客にとって「なぜこの商品・サービスを選ぶのか」という判断基準になります。企業の理念や想いに共感してもらい、長期的な関係性を築くための重要なものなので、時間をかけてじっくりと作成していきましょう。
ただし、ブランドコンセプトの作成には、マーケティング戦略の専門的な知識とブランディング実務の経験が必要です。自社だけでは限界を感じる場合は、専門家に相談することをおすすめします。
ブランドコンセプトの作成や浸透にお悩みの企業は、ぜひコンマルクにご相談ください。
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