Webマーケティング戦略に活用できる7つのフレームワーク|立案の流れも
Webマーケティングの戦略立案には現状分析、顧客分析、戦略立案など多くのフェーズがあり、それぞれに適したフレームワークがあります。
そこで本記事では、Webマーケティング戦略に活用できる7つのフレームワークを戦略立案の流れに沿って解説します。SWOT分析、3C分析、ペルソナ分析、STP分析など、各フェーズで活用できる重要なフレームワークを紹介しますので、ぜひWebマーケティング戦略立案にお役立てください。
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、インターネット上で行うマーケティング活動全般のことです。自社のWebサイトやSNSを通じて、潜在顧客の集客から購買促進までを行います。
ここでは、Webマーケティングの概要と主な施策について確認していきましょう。
デジタルマーケティングとの違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングは似た概念ですが、厳密には異なります。デジタルマーケティングは、デジタル技術を活用したマーケティング全般を指し、Webマーケティングはその一部に位置づけられます。
上図の通り、デジタルマーケティングにはスマートフォンアプリやデジタルサイネージなども含まれますが、Webマーケティングはインターネット上の活動に限定されます。
つまり、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部であり、より限定的な範囲を指しているのです。
Webマーケティングの主な施策
Webマーケティングの主な施策は、以下表の通りです。
施策 | 説明 |
SEO | 検索エンジンからのオーガニック流入を増やす施策 |
SNSマーケティング | FacebookやInstagramなどのSNSを用いて広報する施策 |
コンテンツマーケティング | ブログや記事を通じて情報を提供し、顧客を育成する施策 |
メールマーケティング | ニュースレターやキャンペーンメールを使用して顧客にアプローチ |
ディスプレイ広告 | Webサイトに表示される視覚的な広告によってブランドを認知させる施策 |
リスティング広告 | 検索結果上部にテキスト広告を表示し、新規顧客を獲得する施策 |
リターゲティング広告 | 再訪問ユーザーへの広告配信で成約率を向上させる施策 |
アフィリエイト広告 | 自己サイト以外で行う成果報酬型の広告手法 |
ウェビナー・オンラインセミナー | オンラインでセミナーを開催し、権威を持つ情報を提供 |
動画マーケティング | YouTubeなどを用いてブランドの認知を高める施策 |
これらの施策を適切に組み合わせることで、効果的なWebマーケティングが可能になります。
Webマーケティングにおける戦略立案の重要性
Webマーケティングを成功させるためには、しっかりとした戦略立案が不可欠です。ここでは、Webマーケティングにおける戦略立案の重要性について解説します。
目標達成のための道筋を明確にできる
Webマーケティングの戦略には、目標達成のための道筋を立てる役割があります。
WebマーケティングではSEO、リスティング広告、SNSマーケティングなど、打ち手が多岐にわたることから、これらの施策を戦略なしで個別に実行しても一貫性のない活動になってしまいます。そこで戦略を立てることで、目標に向けた道筋を明確にし、各施策の位置づけを明らかにできるのです。
各施策の位置づけを把握できれば、個別の施策を連動させ、相乗効果を生み出すことも可能です。結果として、目標達成の可能性が大きく高まります。
限られたリソースを有効活用できる
Webマーケティング戦略は、リソースを活用するためにも必要です。
予算や人員などのリソースには限りがあります。戦略なしでWebマーケティングを実行するとリソースが分散してしまい、十分な効果が得られない可能性があります。
一方、戦略を立てることで優先順位を明確にし、限られたリソースを最適に配分することができます。これにより、限られたリソースでも最大限の効果を発揮することができるのです。
市場や顧客ニーズに合わせた施策を打てる
Webマーケティングでは、市場や顧客ニーズを的確に捉えることが重要です。戦略立案のステップを踏むことで市場分析や顧客理解を深めることができ、自社や商品・サービスの立ち位置を明確にしたうえで顧客ニーズに合致した戦略を立てられます。
顧客ニーズに合わない施策は、効果が限定的になってしまいます。戦略立案により、そのようなリスクを回避することができるでしょう。
Webマーケティングにおける戦略立案の流れ
Webマーケティングの戦略立案は、以下の流れで進めていきます。
- 現状分析
SWOT分析や3C分析などを用いて、自社や競合、市場の現状を把握する - 目標設定
現状分析を踏まえ、具体的かつ数値化された目標を設定する - ターゲティング
ペルソナ分析などを通じて、アプローチすべき顧客像を明確にする - 施策立案
STP分析や4P分析などを用いて、目標達成に向けた最適な施策を選択する - 実行と改善
立案した戦略を実行に移し、PDCAサイクルを回して継続的に改善する
この流れを意識して戦略立案に臨むことで、より効果的なWebマーケティングを実現することができるでしょう。ただし、一度で完璧な戦略を立てることは難しいため、仮説検証と改善を繰り返しながら、戦略をブラッシュアップしていくことが重要です。
Webマーケティング戦略に活用できるフレームワーク
Webマーケティングの戦略立案には、様々なフレームワークが活用できます。フレームワークを用いることで、現状分析や顧客理解、戦略立案などを体系的に進めることができるでしょう。
ここではWebマーケティング戦略に役立つ7つのフレームワークを、現状分析、顧客分析、戦略立案の3つのカテゴリーに分けて解説します。
現状分析のためのフレームワーク
Webマーケティング戦略の立案には、まず自社や競合、市場の現状を正しく把握することが重要です。現状分析を行う際には、以下の2つのフレームワークが役立ちます。
SWOT分析
SWOT分析とは、企業や事業の内部環境と外部環境を分析するフレームワークで、以下の4つの要素から構成されています。
- S:Strength(強み)
- 自社や自社製品・サービスの強みや優位性となる内部環境の要素
- 目標達成にプラスとなる企業内部の特質
- W:Weakness(弱み)
- 自社や自社製品・サービスの弱みとなる内部環境の要素
- 目標達成の障害となる企業内部の特質
- O:Opportunity(機会)
- 自社にとって追い風となる外部環境の要素
- 目標達成にプラスとなる外部の特質で市場拡大や競争優位の可能性など
- T:Threat(脅威)
- 自社にとって逆風となる外部環境の要素
- 目標達成の障害となる外部の特質で市場縮小や競争激化の可能性など
SWOT分析を進める際は、まず目的・目標を明確にし、次に外部環境(機会と脅威)を分析します。この際、PEST分析、3C分析、5フォース分析などのフレームワークを活用することもあります。続いて、内部環境(強みと弱み)を分析し、最後に分析結果を整理してクロスSWOT分析を行います。
ただし、SWOT分析の結果を過信せず、他の分析と組み合わせて活用することが重要です。また客観的な根拠に基づいて分析し、分析結果を実際の戦略や施策に活かすことが求められます。
3C分析
3C分析とは、企業を取り巻く環境を「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から分析するフレームワークです。マーケティング戦略の立案や事業計画の策定に役立てるために行われます。
3C分析の具体的な進め方は以下の通りです。
- 顧客・市場の分析
- 顧客の特性やニーズ、購買行動を分析
- 市場規模や成長性、トレンドを分析
- 競合分析
- 競合他社の強み・弱み、戦略を分析
- 競合製品・サービスの特徴や価格を比較
- 自社分析
- 自社の強み・弱み、リソース(人材、資金、技術等)を分析
- 自社製品・サービスのポジショニングを明確化
3C分析を行う際は、客観的な事実に基づいて分析することが重要です。インターネットの情報だけでなく、顧客ヒアリングや独自調査等から一次情報を収集しましょう。
また3C分析の結果を他の分析手法と組み合わせることで、より効果的な戦略立案が可能になります。例えば、SWOT分析と組み合わせ、外部環境の機会と脅威、内部環境の強みと弱みを整理するのが一般的です。
顧客分析のためのフレームワーク
Webマーケティング戦略を立案するうえで、顧客理解は欠かせません。自社の商品やサービスが、どのような人に、どのような価値を提供できるのかを明らかにする必要があります。
顧客分析を行う際には、以下の2つのフレームワークが特に役立ちます。
ペルソナ分析
ペルソナ分析とは、自社の商品やサービスの理想的な顧客像を具体的に設定し、その人物像を深く分析することでマーケティング戦略に役立てる手法です。ペルソナ分析では、以下のような項目を設定し、架空の人物像を作り上げていきます。
- 氏名、年齢、性別、居住地などの基本属性
- 職業、収入、家族構成などの社会的属性
- 趣味、嗜好、価値観などの心理的属性
- 日常生活の過ごし方、情報収集方法、購買行動など
これらの属性を詳細に設定し、まるで実在する人物かのように具体的なペルソナを作成します。
またペルソナは1つだけでなく、複数設定することも有効です。異なる特徴を持つ顧客セグメントごとにペルソナを作成し、セグメントに応じた施策を打つことで、より効果的なマーケティングが可能になります。
RFM分析
RFM分析は、顧客の直近の購買日(Recency)、購買頻度(Frequency)、購買金額(Monetary)の3つの指標で顧客を分析するフレームワークです。この3つの指標を用いて顧客をランク付けすることで、優良顧客や休眠顧客など、顧客の状態を把握することができます。
RFM分析を行うことで、顧客ごとに適切なアプローチを行うことができるようになります。例えば、最近購買があり、購買頻度が高く、購買金額も大きい顧客は、優良顧客といえます。こうした顧客に対しては、ロイヤルティプログラムなどで長期的な関係性を構築することが重要です。
一方、以前は購買があったものの最近購買がない顧客は休眠顧客といえます。休眠顧客に対しては、再アクティベーションキャンペーンなどを行うことで、購買を促すことができるでしょう。
RFM分析は、顧客の状態に応じたマーケティング施策を打つうえで非常に有効なフレームワークです。ただしRFM分析を行うためには、顧客の購買履歴データが必要になります。自社のECサイトやCRMシステムなどから、必要なデータを収集・分析することが求められます。
戦略立案のためのフレームワーク
現状分析と顧客分析を行った後は、いよいよ戦略立案のフェーズです。戦略立案を行う際には、以下の3つのフレームワークが役立ちます。
STP分析
STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つのステップで戦略を立案するフレームワークです。
STP分析では以下の3つのステップで市場を分析します。
- セグメンテーション(市場細分化)
市場を何らかの基準で細分化し、ニーズや特性の似通った顧客グループ(セグメント)に分ける。地理的変数、人口統計的変数、心理的変数、行動的変数などが用いられる - ターゲティング(標的市場の選定)
細分化された市場セグメントの中から、自社が特に力を入れるべき標的市場を選定する。市場の規模や成長性、競合状況などを考慮して決定する - ポジショニング(自社の位置づけ)
選定した標的市場において、自社製品やサービスをどのように差別化し、どのような位置づけにするかを明確にする。競合との比較優位点を打ち出すことが重要
STP分析を行うことで、自社が誰に、何を、どのように提供するのかを明確にすることができます。この明確化があって初めて効果的なマーケティング施策を立案することができるのです。
4P分析
4P分析は、マーケティングミックスの4要素である製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)を分析するフレームワークです。
- 製品(Product)
- 製品の品質、デザイン、パッケージ、ブランドなどを分析
- 顧客ニーズに合致した製品開発が重要
- 価格(Price)
- 価格設定や割引、支払い条件などを分析
- 顧客の価格感度や競合製品の価格を考慮
- 流通(Place)
- 販売チャネルや流通経路、店舗立地などを分析
- 顧客の利便性や製品特性に合った流通戦略が求められる
- プロモーション(Promotion)
- 広告、販売促進、PR、人的販売などの手法を分析
- ターゲット顧客に効果的にアプローチする方法を検討
4P分析は、マーケティング戦略の基本として広く活用されています。しかし、現代のマーケティングでは4Pに加えて、人材(People)、プロセス(Process)、物的証拠(Physical Evidence)の3つのPを加えた7P分析も用いられるようになっています。
4P分析を行うことで、自社の商品やサービスを、適切な価格で、適切な場所で、適切な方法で提供するための戦略を立案することができるでしょう。
AIDMA
AIDMAは、顧客の購買プロセスを注意(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の5段階で整理するフレームワークです。
- Attention(注意)
- 消費者が商品やサービスに気づき、注意を向ける段階
- 広告や店頭ディスプレイなどによって注意を引き付ける
- Interest(関心)
- 商品やサービスに興味を持ち、関心を抱く段階
- 商品の特徴や利点について情報収集を始める
- Desire(欲求)
- 商品やサービスへの欲求が高まり、購入を検討する段階
- ブランドイメージや価格、品質などを比較検討する
- Memory(記憶)
- 商品やサービスの情報を記憶し、購買意欲を維持する段階
- ブランド名や商品の特徴を覚えておく
- Action(行動)
- 実際に商品やサービスを購入する段階
- 店舗やオンラインショップで購入手続きを行う
AIDMAモデルは、消費者の心理状態が段階的に変化していくことを示しており、この流れを理解することで顧客の購買プロセスに合わせたマーケティング施策を立案することができます。
例えば、消費者の注意を引くための広告や興味を喚起するためのコンテンツ、欲求を高めるためのキャンペーンなどを購買プロセスに応じて展開していくことができるのです。
Webマーケティング戦略を立てる際のポイント
Webマーケティング戦略を立案する際には、押さえておくべきポイントがあります。ここでは、特に重要な4つのポイントを解説します。
目標を明確化する
Webマーケティング戦略を立案する際には、まず目標を明確にすることが重要です。目標が明確でなければ、施策の優先順位を決めることができませんし、効果測定も難しくなってしまいます。
ここで立てる目標は、具体的で測定可能なものである必要があります。例えば「Webサイトの月間訪問者数を20%増加させる」といった具合です。
また目標を設定する際は、現状の課題を踏まえることも大切です。現状の課題を正しく認識し、その課題解決につながる目標を設定しましょう。
顧客のニーズや課題を深く理解する
Webマーケティング戦略を立案する際には、顧客のニーズや課題を深く理解することが重要です。顧客の立場に立って考えることが、効果的な戦略立案につながります。
顧客理解を深めるためには、アンケートやインタビューなどの調査を行うことが有効です。またWebサイトの行動データを分析することも重要です。顧客がどのようなページを見ているのか、どのような行動を取っているのかを分析することで、顧客のニーズや課題を把握することができます。
自社に適した施策を選択する
WebマーケティングにはSEO、リスティング広告、SNSマーケティングなど、様々な施策があります。しかし、全ての施策を実施する必要はありません。自社の目標や顧客の特性、競合の状況などを踏まえて、自社に適した施策を選択することが重要です。
施策を選択する際は、自社のリソースも考慮する必要があります。予算や人員に限りがあるなかで最大の効果を発揮できる施策を選択することが求められます。
また選択した施策は、相互に連携させることも重要です。例えば、SEOとコンテンツマーケティングを連携させることで相乗効果を生み出すことができます。個別の施策だけでなく、施策間の連携も考慮して戦略を立案することが大切です。
仮説検証と改善を繰り返す
Webマーケティングは、一度戦略を立てれば終わりではありません。戦略を実行に移し、その効果を測定し、改善を繰り返すことが重要です。
戦略を実行する際は、仮説を立てることが大切です。例えば、「このキーワードでSEO対策を行えば、流入数が増加するはずだ」といった具合です。そして、その仮説を検証するために、施策を実行し、効果を測定します。
効果測定の結果、仮説が間違っていれば、戦略を修正する必要があります。逆に、仮説が正しければ、その施策を継続・強化することが求められます。このように仮説検証と改善を繰り返すことで、より効果的なWebマーケティングを実現することができるのです。
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Webマーケティング戦略の立案には、現状分析、顧客分析、戦略立案など、様々なフェーズがあります。それぞれのフェーズで活用できるフレームワークを理解し、適切に活用することが重要です。
しかし、自社だけでWebマーケティング戦略を立案・実行するのは容易ではありません。特に、社内にWebマーケティングの専門人材が不足している場合、戦略立案から施策実行まですべてを社内で行うのは大きな負担となるでしょう。そんな時は、Webマーケティングの専門家に支援を求めることをおすすめします。
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